【コラム】中小企業の経営:生成AIとの付き合い方

(※) 当コラムは、読者として中小企業の経営者や管理者の方を想定しています

AIイメージ

メディアで記事を見ない日はないほどに生成AIという言葉が浸透してきました。
中小企業の経営者の方々は関心を寄せつつ、「とりあえずネットやセミナーで情報収集」という対応状況が多いのではないでしょうか。最近の生成AI関連のセミナーは盛況のようです。セミナーのテーマとしては、生成AIの基本機能やプロンプトと呼ばれる指示・質問の仕方のコツといった内容が中心になっています。生成AIがどのようなものなのかを知るためには、実際に使ってみることが早道であり、そのためにはこのようなセミナーに一度参加するのが良いと思います。

生成AIの機能は多岐に渡り、かつ日々進化していますが、大まかには以下のように分けられます。

  • 生み出す:あるテーマに基づいて文章を作る、ある論点についてアイデアを提示する、など
  • 調べる:発生した事象の原因を探る、過去の事例を探す、など
  • まとめる:作成した文章の要点を抽出する、長文を所定の字数に収める、など
  • 変換する:英文を日本文に翻訳する、誤字脱字を修正する、など

遅かれ早かれ、ChatGPT等の生成AIは、ビジネスにおいてエクセルやワードと同じように「当たり前の感覚」で使われるツールになるでしょう。少子高齢化が進み、労働力が絶対的に不足しつつある中で、生成AIを用いた業務の自動化や効率化は大きな意味を持ちます。特に経営資源の制約が多い中小企業では、その影響が大きく表れます。

「うちの業務は特殊だからAIとは無縁」「職人の技術が中心だからAIの活用は無理」といった考えをお持ちの方がいるかもしれません。しかし、どのような業種業態であっても、活用の可能性や業務への取り込みを柔軟に考えていくことは、業務の変革や改善のきっかけとなり、決してムダにはなりません。実現できるか否かはいったん脇に置き、生成AIを将来の有望な戦力と見なして、その活用方法を考えてみてはいかがでしょうか。なお、生成AI単体での活用もありますが、現行の業務の仕組み(既存のソフトウェアなど)と組み合わせることで活用の余地は大きく広がります。

ただし、中小企業における生成AIの活用事例は、現時点で十分に蓄積されているとは言えません。また、生成AIを使ったとしてもすべてがバラ色に変わるわけではなく、使う側である人間の判断力や検証力を高めていくことが不可欠です(そうでなければ使われる側になって振り回されます)。さらに、実際に業務に組み込むとなれば、運用体制、セキュリティ、コストの側面も考慮することが必要となります。

AIという言葉に踊らされ、活用の方向性も曖昧なまま焦って現状を変える必要はありません。まず生成AIが何者かを知ったうえで、常日頃から活用の可能性について考えを巡らせておくことが今は重要だと考えます。